【感想】作家のおやつ
作家はどんなおやつを食べていた?
昔の作家という方々はお金持ちで、きっと良いものばかり食べていたに違いない!編集者をパシらせて高級お菓子を旅館でパクつきながら執筆をしていたんだ、と100%の偏見のもと「作家のおやつ」を手に取りました。
特別な日のごちそう、というよりかは「日常生活でのおやつ」という内容で取り上げられていたので、むしろ庶民的なお菓子が多かったように思います。(掲載されているおやつで気になった物は、当ページの下部に挙げ連ねておきます。)まぁ日本のお菓子ばかり載っているので、そう見えるのかもしれませんが。
どの作家がどのおやつを好んでいたか、作家や作品を知らなくても有名な人が食べていたおやつって何だろうと覗くだけでも楽しめると思います。食いしん坊さん必見の本ですよ!
本としては全ページがお菓子のカラー写真なので、甘味特集の雑誌を眺めるくらいの読みやすさで目でも楽しめました。
私の食べたいリスト
食べたことのないもの、または久しく食べていないもの等、この本をみて食べたくなったおやつ達を挙げ連ねました。
本に掲載されていたお店を調べてみると残念ながら閉店してしまったお店もありましたが、当時の作家の方に思いを馳せてティータイムを楽しみたいですね。
日新堂菓子店のマドレーヌ(三島由紀夫)
三島由紀夫は昭和39年から毎年、夏の休暇を下田東急ホテルで過ごしたそうです。
その際に週一で来店し、ホテルの来客用にもどっさり買い込んだということで知られる有名なマドレーヌ。牛乳、バターを使用していない素朴な味らしい。ぜひとも食べてみたい。
明治製菓の板チョコ(手塚治虫)
手塚治虫ファンの間では先生がチョコ好きなのは周知の事実のようですね。興奮剤の代わりで眠気覚ましに乱食していたとか(笑)
最近ではあまり板チョコの方は買わなくなったので久しぶりに購入しました。食べるとなんとも懐かしく思いましたが、形が違うだけで小粒タイプの物は仕事中によく食べていました。ちょっと形が違うだけなのに、思い出のスパイスを効かせるとこんなにも味に変化があるんですねぇ。
妻の作ったフルーツケーキ(植田正治)
夫や子供のために奥さんの紀枝さんがつくったフルーツケーキ。オーブンがなかった頃は七輪の上にアルミの箱を乗せてスポンジを焼いたそうです。
こちらはレシピが残っているそうで、なんとNHKの番組「グレーテルのかまど」でも取り上げられています。料理上手な方はぜひお試しあれ☆
しかしながら、NHKの番組で作ったものより、この本に載っている写真の方が色鮮やかで美味しそうです。パイン、みかん、りんごが艶めき、甘いケーキに爽やかな味わいを感じます。どこかで買えないものか。。
しろたえのシュークリーム(向田邦子)
昭和53年創業の洋菓子店で、メニューの大半が創業当時のままだそうです。
向田先生がドラマの仕事をしていたTBSの近くに店があり、開店するやこの店に目をつけ、ファンになったそう。
お店の口コミを見てみると、シュークリームには洋酒が入っていて大人の味がするそうですね。私はコージーコーナーのシュークリームが味も値段も一番だと思っていいるので口に合うかは分かりませんが、シュークリーム好きとして試したい一品です。ちなみにこのお店はレアチーズケーキが人気だそうで、こちらも気になります。
饅頭茶漬け(森鷗外)
春日饅頭を拳で二つに割り、それをまた四つ位に割ってご飯の上に乗せ、煎茶をかけて食べるのが「饅頭茶漬け」らしい。現代人には少々カルチャーショックというか、ジェネレーションギャップというか、不可思議な食べ物である。「ほどよく塩味も感じられ、さっぱりしたお汁粉といったところ」とは書いてありましたが、せっかくのお饅頭で失敗をしたくないので試せずにいます。掲載されている写真を見る限り、美味しそうには見えました(ネットで調べた画像は不味そうでしたが)。
村上開新堂の好事福盧(池波正太郎)
明治37年創業の京都で一番古い洋菓子店の名物で、紀州みかんの果肉をくり抜き果汁をジュースににしてキュラソーを加えてゼラチンで固めたもの。製法、パッケージともに明治末に初代が開発したままだそう。
池波先生は麦酒と一緒に食べていたそうです。
私はこのお店のクッキー缶(要予約)のクッキーに憧れているのですが、量があるのでなかなか頼めずにいます。あ、ロシアケーキは一枚から購入できますよ!私は葡萄ジャムサンドが好きです。
竹むらの揚げまんじゅう、粟ぜんざい(池波正太郎)
昭和5年の創業当時と変わらぬ店構えで「東京都選定歴史的建造物」に指定されているお店です。
「汁粉屋というものは、男女の逢引にふさわしい風雅な造りでなくてはならぬ」と書き記したそうです。しっとりした色気を感じるお言葉ですね。
揚げまんじゅうというと、かりんとう饅頭のようなものかな?と考える方もいるかもしれませんが、お饅頭の天ぷらを想像してください。きっとイメージ通りですよ。
村上開新堂のケーキ(古波蔵保好)
創業明治7年、日本初の洋菓子店として今も変わらぬ味を作り続けているそうです。
紹介制販売なので、購入したことのある人に紹介していただかないと一見さんは購入できない。。創業以来手作りを続けているので数が作れないため、仕方がないのですが、仕方がないのですが!手軽には味わえないのです、、、!!!
私のような一般庶民には夢のまた夢、セレブに生まれ変わらないと味わえないケーキなんじゃなかろうか?
空也のもなか(※多数)
多くの文化人が愛した「空也のもなか」は、予約必須です。
一度食べてみたいと機会を伺っているのですが、銀座に用もなければ一人で食べきれる量でもないので、二の足を踏んでいる状態。あぁ食べたい!!
最後に
平成最後の年にこの記事を書いてますが、本に掲載されているお店が既に閉店している所もあり残念な気持ちになりました。
と同時に、焦りもあります。昭和の作家が愛したお店は、平成の次も生き残っているでしょうか?今を逃せばもぅ食べられなくなるのでは?こりゃいかん、二の足踏まずに、食べたい時に買いに走らなければ食いっぱぐれる事態になりかねん!!
昔と違って、今は客層も世界規模の時代、同じ国にいるからって簡単に手に入れられる時代ではないのです。それに手作りの商品は作れる量に限りがありますので、欲しい人数が多ければそりゃぁ手に入れにくいですよね。。
お店側にとっては縁起でもないことですが、閉店や継承者が存在しなくなる前に手に入れようと強く思いました。